北海道大学 研究シーズ集

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バイオマス由来の環境にやさしい海洋生物付着防止化合物

フジツボなどに対する有害な海洋生物付着阻害剤が海洋環境汚染の原因となっており、安全な代替品開発が求められている。私たちは、バイオマス由来の化合物を合成することで強力かつ低毒性化合物の創出に成功している。更なる最適化も可能である。

研究の内容

人類の海洋利用(船舶や発電所の冷却管など)は不可欠であるが、フジツボなどの付着生物によって船舶の燃費悪化や詰まりなどの機能低下を引き起こされる。機能低下を防止するために、有機スズ化合物が使用されてきたが毒性のため使用が禁止され、代替品の開発が望まれている。私たちは、ウミウシなどの海洋生物が他の生物の付着から防御するために用いる化合物に着目している。化合物の合成の結果、付着防止に重要な官能基(付着防止ユニット)を見出した。この官能基を安価な海洋生物由来のバイオマスに短工程で導入し、合成品の付着阻害試験(タテジマフジツボのキプリス幼生)を行ったところ、非常に強い付着阻害活性と極めて弱い毒性を併せ持つことを見出した。現在、類似化合物の合成や更なる機能を付与する研究を展開している。

社会実装への可能性

  • 化合物をそのまま利用いただくことも可能ですが、用途に応じた化合物設計および合成も可能です。現在、10グラム以上の化合物を保有していますので、直ちに検討いただけます。

産業界や自治体等へのアピールポイント

持続可能な海洋利用が今後求められます(SDGs 14)。開発した化合物は現時点ではコスト高ですが、今後強く要求されるであろう持続可能性に間違いなく対応できます。更なる化合物の開発や大量合成法の開発の面で、共同研究を希望します。

関連情報

2019/1/23公開